現在一番多用している尿道用カテーテルです。先端が上図のように丸まっており。適度なコシがあって膣内と子宮内への挿入も慣れれば出来るようになります。
どの長さでカットしてもシリンジの口にフィットするサイズですので犬種を問わず使用できます。
↑犬の子宮のちょうどいい解剖図が無かったので人間のものを使っています。犬の場合は子宮が左右に二つありこちらの図の卵管部分が子宮で図で子宮と記載がある部分が子宮体となり卵巣の位置もこの図でいうと卵管采の部分にあたります。まず人差し指をガイドにして人差し指の上側、犬の尻尾側にカテーテルを沿わせて子宮口付近までカテーテルをガイドします。発情適期であれば子宮口が数ミリ散大していますので熟練した者が行えば比較的簡単に子宮頚部より奥に挿入することが可能です。私は手軽さと扱いやすさから通常の人工授精はこちらの方法を用いることがもっとも多いです。
↑こちらはバルーンカテーテルです。バルーンを膨らませた状態で撮影していますが通常は挿入してからバルーンを膨らませます。大学の獣医学の先生がバルーンカテーテルを使った人工授精法を発表されてから人気を集めた人工授精の方法です。カテーテルが2重構造になっていて生理食塩水または空気でバルーンを膨らませて内筒より精液を注入することにより犬の自然交配と同様バルーンを亀頭球に見立てるということになります。
その論文を拝見しましたが、挿入部位までは書いていませんでしたので上の画像であっていると思いますが、もしかすると違うかもしれません。利点としてはバルーンやカテーテルのサイズが色々ありチワワなどの小型犬で指でのガイドが行えない場合や暴れてしまう犬などの場合でもバルーンがストッパーとなり確実に精液を注入し漏れを防ぐことができます。ただし2重構造になっているためカテーテル自体が太く子宮口より奥に誘導するのは難しく子宮頚部でバルーンを膨張させると痛みも伴ってしまうことが予想されます。
↑内筒と外筒に分かれた子宮深部注入用スパイラルカテーテル外筒部分がスパイラル状になっており、まわしながら挿入することでネジのように子宮頚部に簡単に挿入でき固定されます。固定後に直径2ミリの内筒を操作し卵巣直下まで到達することが可能です。
もっとも深部に注入することが出来るため子宮口の閉塞や卵管閉塞を起こしている場合の異常の発見にも役立ちます。現在豚の人工授精では高い受胎率を上げる方法です。犬では凍結精子を用いる場合に使用しています。熟練すると双角への分注も可能で開腹による人工授精と同等の受胎率を得る事が出来ます。ただ難点としては無理にねじ込むと子宮を痛めますし通常の人工授精より感染症のリスクも高く、安全に行うためには手技自体の難度が高いという点です。注入する精液自体の取扱もクリーンな状態で取り扱わなければいけませんし、外筒内筒も滅菌状態でパッケージされていて無菌状態で取扱も行わなければいけません。
これらの事を踏まえ以前紹介しました。開腹による人工授精は必ずしも必須では無いという事がお分かりいただけたと思います。
こちらは内視鏡によって目視しながら内筒を目的の場所まで誘導する方法で確実性もあり異常個所の発見も行えて最強のツールですが言わずともですが、機械が高いのと洗うのがめんどくさいので最近は人工授精には使用していませんがその他の治療や単純に膣鏡の代わりとして出産時の子宮口の開口具合の観察に利用しています。最近では工業用内視鏡の数十センチの短い物もありますので子宮口の観察でしたらそれらで代用可能と思われます。
色々な人工授精をご紹介しましたが、最近思うことはこれらのきちんとした技術の習得は繁殖者として理解しておかなければいけませんが、授精させる技術のみで受胎率が決まるのでは無いということ。
日ごろからの妊娠に向けた体作りがとても大切で、人と違い犬は産仔数が多くその為、母体にかかる負担も大きくなりそれをクリアできる体でないと体自身が妊娠を敬遠するように受胎率は下がります。犬は毎日ドッグフードを食べるわけですから妊娠に適した飼料や種オスに適した飼料や妊娠を阻害したり胎児に影響を及ぼす恐れのある添加物の有無などそこが一番気を使うところだと私は思います。
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