現在欧米では抗菌剤および抗ウィルス剤の使用は極力減らすような体制が敷かれています。例を挙げるとタミフル消費量は世界で日本がダントツのナンバーワンです。日本人はインフルエンザになりやすいのねという話ではありません。
不必要に処方する医者、薬に頼りすぎる国民性ということが主な原因です。
もちろん抗生物質の消費量も郡を抜いて多いです。 耐性菌が増えると薬を変えざるを得なくなりその循環は自己免疫力の低下を意味します。
軽微な風邪やインフルエンザでは抗生物質を処方しないといった政策をとっている国もあります。
抗菌剤(抗生物質)とは、細菌を殺す(又は弱らせる)お薬ですが、原因菌のみ特定して殺菌する事はできず良い菌にも作用します。1940年頃から臨床で使用され始めました。1940以前は細菌感染を起こしても自己免疫機能で治癒させていました。
これら抗菌剤の過剰使用は犬にもそのまま当てはめる事ができます。抗菌剤、抗ウィルス薬以外にはステロイドの使用も強く免疫力の低下を招きます。
こちらの犬舎でも小さい頃に大病を患い抗生物質とステロイド投与を止められなかった犬がいますが、事実現在でも非常に病弱で耐性が弱く体も小さいです。
人間と異なる部分として皮膚があげられ、犬の場合は体調の良し悪しやアレルギー発症の有無が皮膚に現れやすく、人間とは違い発汗しないため皮膚や皮脂腺の洗浄は必須ではありません。
野生の動物を見るとお分かりのようにまったく洗浄しなくてもとても美しい被毛をしちます。洗浄は皮膚トラブルを引き起こす引き金になる可能性のほうが高いといえます。洗浄(シャンプー)は必要最低限の場合のみ行う事をお勧めしてます。
動物にとって皮膚はシャンプーの匂いがする状態を保つ事が最善ではありません。皮膚には無数の細菌が常在しており常に悪い細菌とそれらから皮膚を守る良い菌類が拮抗しながら状態を保っています。
しかしそれらを薬品で洗い流す事によってリセットされてしまう可能性もあります。
一般的に言われている事ですが過度のシャンプーは皮膚の細菌バランスを壊し皮膚トラブルの原因になります。シャンプーは皮膚の抗菌剤と思っていただくと分かりやすいと思います。
平成18年6月より新動物愛護法が施行され繁殖者には動物取扱責任者の講習の義務付けと施設の届出が必要になりました。これはあくまでも登録であり登録を拒否された事例は今までに聞いた事がありません。
ライセンスや経験などのハードルも無くいわば誰もが出来る犬の繁殖ですが、繁殖した子犬を販売する以上、大きな責任も伴います。
しかしその責任とは繁殖し販売した犬が生涯健康でなければいけないという責任なのかと問われると答えはノーです。生物である以上、必ず健康であるという生き物はこの世に存在しません。またそれを繁殖者にのみ求める事も飼育を行っている飼い主の飼育環境や前述した健康に育てる努力ををしたか否かも重要な判断要素になります。
しかし繁殖者は常に健全な繁殖を行い健全である犬が産出できるように知識と技術を身につける必要があります。
健康不良のもっとも大きい要因の一つとして遺伝をあげていますが、遺伝性の疾患のある犬で繁殖をしないというのは当然ですが、繁殖犬に高免疫を持たせる事も義務であると考えます。母犬と胎児は血液循環をしながら出産に至るわけですから母の免疫は子犬にそのまま受け継がれると言っても過言ではないでしょう。
適切なワクチンプログラムはもちろんの事、育成段階でもあらゆる外敵に晒されて育った犬は室内飼育のみで育った犬より数倍健康であるとの経験からの認識があります。
したがって繁殖者の条件として飼育環境や設備の充実、必要運動スペース運動施設の完備などがあげられます。
繁殖者は常に健全で後世に伝えていける犬の繁殖を行う必要があり、繁殖形態の公開や繁殖犬の公開を行う事が消費者にとって安心を提供する唯一の方法ではないかと考えます。
犬は製品ではなく生き物です。生き物には必ず長所短所の個体差があります。