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犬の繁殖とホルモンの関係

2020.06.22(月)

メス犬の発情サイクルと排卵妊娠サイクルについて
卵胞ホルモン(エストロゲン)卵胞刺激ホルモン(FSH)
黄体ホルモン(プロゲステロン)黄体形成ホルモン(LH)
主にこちらの4種類のホルモンの相関性を理解することによって犬の繁殖に関わる一定の知識を身につけることが出来るかと思います。
相関グラフを引用しておりますのでご覧ください。

簡単に図の通りに文面に起こすとまず発情(ヒート)開始の2~3週間前からFSHの上昇が始まり、その後エストロゲンの上昇が起きると数日遅れてプロゲステロンの上昇が始まりLHサージが起こります。LHサージは24時間以内の短期間で終了しエストロゲンも排卵前に下降していきます。
LHサージから48時間以内にOvulation(排卵)が起こりプロゲステロンは妊娠に関係なく発情(ヒート)開始後60日程度かけて上昇し下降していきます。
LHは種によって異なりますので犬以外の動物種ではこの相関関係は当てはまらないので注意が必要ですが犬であればチワワから超大型犬まで等しく排卵はこの相関関係が成り立つとされています。

繁殖において排卵を確認する目的で観察されるグラフにはFSHが除外されているものが多くみられます。
無発情期の発情誘起の前段階としてFSHを計測することは有用かもしれませんが発情開始後の排卵を予測するうえでは重要な項目ではありません。
またエストロゲンの上昇は発情中かを判断する指標にはなりますが排卵を予測するには突出した特徴がないため適しているとは言えません。
LHは排卵前に大きな突出した変化(LHサージ)を表します。またLHサージ後48時間で排卵が起こるため排卵を予測する場合に人間ではLHサージの検出を目的とした排卵日チェッカーを用いることが一般的です。
しかし犬の場合は尿中のLH検査試薬簡易キットが開発されておらずLHサージは24時間以内に上昇し下降してしまうため毎日計測する必要があり排卵を予測する検査として現実的とは言い切れません。また犬の場合は人間と違い排卵が起こってから卵子が成熟するまでの日数が人間と比べて長いためLHよりもprogesteroneを検出する方がAI(人工授精)に向いていると言えます。
犬のプロゲステロン数値の読み方で記述したようにプロゲステロン値を計測し排卵を予測する方法が現在もっとも的確な評価方法であると思います。

無発情犬に対する発情誘起から排卵に至るまでのアプローチ

正常な発情サイクルが認められないメス犬や毎回発情は起こるが交配しても妊娠に至らない犬に対するホルモン治療に関して、
発情が8ヶ月以上認められない適正な年齢のメス犬にはLH様作用は弱くFSH様作用を持つ血清性性腺刺激ホルモンで自然な形で発情誘起を行うことが出来ます。
またプロジェステロンを測定し交配を行う場合、通常90%以上の確率で妊娠に至りますが複数回妊娠に至らない犬に対してはFSH様作用が弱くLH様作用を持つ絨毛性性腺刺激ホルモンを投与し、正常な排卵を促しプロゲステロンと持続性黄体ホルモン製剤で着床を促し妊娠を維持することが出来ます。
これらは獣医師の観察下で適正に使用される必要があります。

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