2020.11.25(水)
体が丈夫で飼いやすく、性格も大雑把な印象のあるフレンチブルドッグには外飼いできる?という質問がたびたび寄せられます。犬は好きなのものの抜け毛や家族のアレルギー、トイレの失敗が気になるというご家庭では、外飼いをしたいという希望も当然でしょう。
結論から先に申し上げるとフレンチブルドッグの外飼いは不可能ではありませんが、おすすめできるものではありません。外飼いによってどのような問題が起こるのか、なぜ外飼いに向かないのかを詳しくご説明させていただきます。
フレンチブルドッグの体形は重量感があり他小型犬に比べ各段に丈夫そうな印象を受けます。これだけしっかりとした体形をしているのなら外飼いでもOKでは?と感じてしまうのも当然なことです。
でもフレンチブルドッグと外飼いに向く犬とでは被毛の構造がまるで異なっています。
外飼いに向く犬といえば
〇柴犬に代表される日本犬
〇シベリアンハスキー
〇セントバーナード
〇グレートピレニーズ
などです。これらの犬種は体の大きさだけでなく、被毛が二層構造になっています。下層の被毛はフェルト状で寒気が体を冷やすことを予防し、体温を上手に活用し体を寒さから守ってくれます。
でもフレンチブルドッグの被毛は通気性のよい固い被毛一層のみです。人間であれば真冬にインナーを着用せずにTシャツ1枚で屋外で過ごすような状態です。寒い風が体に直接届き、数分でも耐えがたいでしょう。
犬は外飼いができるという情報は数十年前の日本の話です。当時は日本犬を祖先に持つ雑種や日本犬が大多数を占め、ほとんどの犬は寒さに耐えうる二層構造の被毛をもっていました。
海外の温暖な地域で輩出され、日本で暮らし始めたフレンチブルドッグは軟弱だからとう理由で外飼いに向かないのではなく、そもそもの身体構造が寒さに強い日本犬達とは違うということを理解しておきましょう。
フレンチブルドッグは外飼いができるかと聞かれたら、NO!と断言できます。でも犬ですから外で飼うことは不可能ではありません。
それでもあえてフレンチブルドッグは外飼いができないとする理由は
〇暑さに弱い
〇寒さに弱い
〇デリケートな皮膚を持つ体質
〇甘えん坊な性格
つまりフレンチブルドッグは外飼いでは決して幸せな暮らしを送ることができないからです。フレンチブルドッグのように鼻が短い犬種は体温が上がりやすく、暑さにも大変弱いです。ここ数年の日本の夏の気温は40度を超えることもあります。
犬を外飼いしていたのは数十年前の日本です。当時は現代ほど夏の気温は高くなく、熱帯夜という言葉さえありませんでした。夏は日陰に移動すればそれなりに暑さに耐え暮らすことができました。でも今は気候自体が大きく変わり当時の常識は通用しません。
外飼いの暮らしでは日当たりのいい場所、風通しの悪い場所に犬小屋があれば体感温度はさらに上がってしまうでしょう。
また天気の悪い日や寒さ、暑さの厳しい日にだけ屋内に入れ、屋外と屋内を使い分けるのは?と考える方もいるでしょう。この方法も犬にとっては好ましくありません。
なぜなら犬の立場からはいつ屋内に入ることができるのか?を判断できないからです。犬はただひたすらに屋内に入れてもらえるのではと期待感を膨らませ家族の様子をうかがっています。このような犬の気持ちからも外飼いをNOとする理由を理解していただけるでしょう。
フレンチブルドッグとの暮らしでは外出時の寒さ対策を徹底してゆきましょう。実は犬にもヒートショック症状が起こることがわかり、様々な専門家が注意を呼びかけています。
犬のヒートショック症状も人間とまるで同じ仕組みで起こります。暖かい部屋から突然、寒い屋外に散歩に出ることで急激な寒暖差を感じ、心臓に負担が加わるという仕組みです。場合によっては散歩後に突然死をする犬もいるほどです。
フレンチブルドッグに限らず室内で暮らす犬達は、室内では25度以上の暖かい部屋で過ごし、散歩に出かける時はマイナス気温や5度以下という厳しい環境で突然運動を始めることになります。
同じ室内で過ごしていた家族は当然のことのように上着やコートを羽織るでしょう。犬達にも寒い屋外へ出かけるときには上着やコートがかかせません。
散歩は犬にとってうれしいことですから、どんなに寒い日でも雪の日でも無邪気にはしゃぎ、激しい運動をすることもありますがその背景には思いもよらぬ危険が潜んでいることはしっかりと覚えておきましょう。
フレンチブルドッグの寒さ対策は、お出かけ時に洋服を1枚着せてあげると効果的です。
着せるべき洋服は
〇通気性が低い
〇軽量
〇動きやすい
この3つのポイントを意識して選びましょう。例えばダウンジャケットのような洋服がオススメです。寒い空気が体に届くことを防ぎつつ、活発なフレンチブルドッグの行動を妨げずに済むからです。
ぜひ今年の冬は寒さ対策も兼ねた愛犬のおしゃれを楽しんでみてください。